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山道を車で走っていると、まっすぐな木がずらりと並んだ、緑の濃い森をよく見かけます。その多くはスギかヒノキです。どちらも日本人にとってなじみ深い木ですが、「どっちがどっち?」と聞かれると、意外と迷う人も多いのではないでしょうか。
山で働いていると、毎日のようにスギとヒノキに向き合います。この記事では、スギとヒノキのちがいと、山で見分けるコツ、木材としての使われ方のちがいをまとめます。
この記事でわかること
- 日本の森に、スギとヒノキがどれくらいあるか
- 葉・樹皮・枝ぶりで見分けるコツ
- 育ちやすい場所のちがい
- 木材としての性質と使われ方のちがい
- スギ・ヒノキの森と花粉の話
日本の人工林の多くはスギとヒノキ
林野庁の「スギ・ヒノキ林に関するデータ」によると、日本の森林面積は約2,502万ヘクタールで、国土の約7割にあたります。このうち、人が苗木を植えて育てた人工林は約1,009万ヘクタールで、森林全体の約4割です。そして、その人工林の約7割をスギ・ヒノキ林が占めています(令和4年3月31日現在)。
つまり、日本の山で見かける人工林の多くは、スギかヒノキの森ということになります。戦後、木材が不足していた時代に、成長が早く、まっすぐ育って使いやすいスギやヒノキがたくさん植えられました。その森がいま、使いどきを迎えています。植えて、育てて、使う森の循環については「木を使うことが森を守る?」で書いています。
葉で見分ける:いちばん簡単な方法
スギとヒノキを見分けるいちばん簡単な方法は、葉を見ることです。
| スギ | ヒノキ | |
|---|---|---|
| 葉の形 | 細くとがった針のような葉が、枝のまわりにらせん状につく | 小さなうろこのような葉が、平たく重なってつく |
| さわった感じ | 先がとがっていて、チクチクする | 平たくやわらかい |
| 葉の裏 | 目立った模様はない | 白っぽいY字のような模様が見える |
スギの葉は、にぎるとチクチクします。ヒノキの葉は、手のひらのように平たく広がっていて、裏返すと白っぽい模様が見えます。この「葉の裏の白い模様」は、ヒノキを見分けるときのわかりやすい目印です。

なお、ヒノキに似た木に、サワラやアスナロ(ヒバ)などがあります。葉の裏の模様の形で見分ける方法もありますが、はじめはまず「チクチクならスギ、平たいならヒノキの仲間」と覚えておくと十分だと思います。
樹皮と木の姿で見分ける
高い木で葉に手が届かないときは、幹や木の姿を見ます。
- スギの樹皮:赤茶色で、縦に長く細くさけてはがれる
- ヒノキの樹皮:赤茶色で、スギよりもなめらかに、薄く帯のようにはがれる
- 木の姿:スギは先がとがった細長い円すい形になりやすく、ヒノキは少し丸みのある形になりやすい
樹皮はよく似ているので、慣れないうちは見分けるのが難しいと思います。足もとに落ちている枝や葉を拾って確かめるのがわかりやすい方法です。森の木を広葉樹と針葉樹に分けたときの違いは「広葉樹と針葉樹の違いとは?」で書いています。
育ちやすい場所のちがい
植林では、「谷はスギ、尾根はマツ、中腹はヒノキ」といった言い方がされることがあります。スギは水分の多い谷や斜面の下のほうを好み、ヒノキはそれより乾きやすい斜面の中ほどでも育ちやすいと言われています。
山を歩くときに、谷沿いにスギ、斜面の上のほうにヒノキが植えられているのを見つけると、昔の人が場所ごとに木を選んで植えたことがわかって、おもしろく感じられます。
木材としてのちがい
スギもヒノキも、家を建てる木材としてよく使われます。
| スギ | ヒノキ | |
|---|---|---|
| 色 | 赤みのある部分と白っぽい部分の差がはっきりしている | 全体に淡い色 |
| 重さ・やわらかさ | 軽くてやわらかい | スギより少し重く、かたい |
| 主な使われ方の例 | 柱、板、天井、床、内装材など | 柱、土台、風呂おけ、まな板など |
| 香り | スギらしい香りがある | ヒノキらしい香りがある |
スギは軽くて加工しやすく、昔から家の柱や板、たるなどに使われてきました。ヒノキは、寺社の建物や、水まわりの道具にもよく使われてきた木です。
切り株や丸太でも見分けられる
伐採したあとの切り株や、積まれた丸太の切り口でも、ちがいが見えることがあります。スギの切り口は、中心の赤っぽい部分(心材)と、外側の白っぽい部分(辺材)の色の差がはっきりしていることが多いです。ヒノキの切り口は、全体に淡い黄みがかった色で、色の差はスギほど目立ちません。
山の作業道の脇に丸太が積まれていたら、切り口の色をくらべてみてください。木の名前がわかると、その山でどんな木が育てられてきたのかが見えてきます。
暮らしの中のスギとヒノキ
スギやヒノキは、建物だけでなく、身近な道具にも使われています。たとえば、ヒノキのまな板は、木の道具を台所で使ってみたい人に選ばれることが多い品物です。
まな板を選ぶときは、次の点を見ておくと安心です。
- 使う包丁や台所の広さに合った大きさか
- 片手で持ち上げて洗える重さか
- 反りにくいように、厚みがあるか
木のまな板は、使ったあとによく洗って立てかけ、しっかり乾かすのが長持ちのコツです。食器洗い乾燥機に入れたり、長く水につけたままにしたりすると、反りや割れの原因になります。
スギ・ヒノキの森と花粉
スギやヒノキの森の話になると、花粉のことが気になる人も多いと思います。林野庁では、花粉の少ない苗木への植え替えや、スギ人工林の伐採・植え替えを進める取り組みも紹介しています。症状や対策については、医療機関や自治体の案内を確認してください。
人工林は、植えたあとも下草刈りや間伐などの手入れを続けることで、健康な森に育っていきます。間伐の意味は「木を減らすと森が元気になる?」、林業の仕事の流れは「林業の仕事とは?」で書いています。
木の名前を覚えるなら図鑑があると便利
スギとヒノキが見分けられるようになると、ほかの木の名前も気になってきます。葉や樹皮の写真がのった、持ち歩きやすい樹木図鑑があると、山歩きがもっと楽しくなります。
よくある質問
Q. スギとヒノキ、薪にするならどっち?
A. どちらも針葉樹なので、火がつきやすく、焚き付けに向いています。薪としての広葉樹と針葉樹のちがいは「薪の選び方と乾燥の目安」で書いています。
Q. 葉の裏の白い模様が見えないときは?
A. 光の当たり方によって見えにくいことがあります。枝を手にとって、明るい場所で葉の裏を見てみてください。
Q. 山の木の枝を持ち帰ってもいい?
A. 山の木は、その土地の持ち主や管理者のものです。落ちている枝でも、持ち帰る前に管理者のルールを確認してください。
見分けられると、山の景色が変わる
スギとヒノキの見分け方がわかると、車窓から見る山の景色も少し違って見えてきます。「この斜面はヒノキかな」「谷沿いはスギだな」と考えながら山を眺めるのも、ちょっとした楽しみです。
Instagramでは、スギやヒノキの森の写真も載せています。よければのぞいてみてください。
参考資料
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