ツリークライミングや特殊伐採を始めるうえで、最も重要な道具のひとつがクライミングハーネスです。

ロープ、カラビナ、ランヤードなど多くの道具を使用しますが、その中心となって身体を支えているのがハーネスです。

  1. そもそもハーネスは何を基準に選ぶ?
  2. セコイアの良いところ
    1. セコイアのメリット
    2. デメリット
  3. ハスクバーナの良いところ
    1. メリット
    2. 注意点
  4. NOTCHの良いところ
    1. メリット
    2. 注意点

今回は、ツリークライミングで使用されるハーネスの中から、

  • PETZL(ペツル)SEQUOIA/セコイア
  • Husqvarna(ハスクバーナ)クライミングハーネス
  • NOTCH(ノッチ)Catalyst/カタリスト

この3種類を比較していきます。

「これからツリークライミングを始めたい」

「今使っているハーネスから買い替えたい」

そんな人の参考になればと思います。


そもそもハーネスは何を基準に選ぶ?

Arborist climbing a tree with ropes, harness, helmet, and chainsaw

ツリークライミング用ハーネスを選ぶとき、価格やデザインだけで決めるのはおすすめしません。

特に確認したいのは、

①安全性
②フィット感
③長時間ぶら下がったときの快適性
④ギアの取り付けやすさ
⑤ブリッジ周辺の使いやすさ
⑥適合している安全規格

です。

ツリークライミングでは地上とは全く違い、身体をハーネスに預けた状態で作業する時間が長くなります。

チェンソーやランヤード、カラビナなどを腰周りに装着することも多いため、単純に「登れるハーネス」であれば何でもいいわけではありません。

そして、日本国内で仕事として使用するのであれば、特に知っておきたいのが墜落制止用器具に関する国内規格です。

厚生労働省の「墜落制止用器具の規格」では、6.75mを超える高さで使用する墜落制止用器具について、フルハーネス型を使用することが定められています。

ここはツリークライミング用のワークポジショニングハーネスと、墜落制止用のフルハーネスを混同しやすいポイントなので注意が必要です。


① PETZL SEQUOIA(ペツル セコイア)

まず紹介するのが、PETZLのアーボリスト向けハーネスSEQUOIA(セコイア)です。

個人的に3種類の中で最もおすすめしたいハーネスです。

セコイアは、最初からフルボディハーネスになっている製品ではなく、基本はアーボリスト用のシットハーネスです。

しかし、対応するPETZL製チェストハーネスを組み合わせることで、フルボディハーネスとして使用できるシステムになっています。

2026年モデルのセコイアについては、PETZLのトップ JP」と組み合わせることで、日本国内の「墜落制止用器具の規格」に適合します。メーカーから適合状況が明確に公開されていることも大きな安心材料です。

セコイアの良いところ

まず感じるのは、腰と脚のサポート力です。

幅広で剛性のあるウエストベルトとレッグループ、さらに3Dフォームパッドが採用されているため、長時間ハーネスに体重を預ける樹上作業を想定した設計になっています。

また、前方にあるアタッチメントブリッジによって身体を左右へ動かしやすく、枝先への移動などツリークライミング特有の動きにも対応しやすくなっています。

ギアループも6か所あり、キャリツール用スロットやチェンソーストラップ用の連結ポイントも用意されています。

つまり、

「木に登る」「移動する」「ポジショニングする」「道具を持つ」

というアーボリストの仕事をかなり細かく考えて作られているハーネスです。

セコイアのメリット

  • 長時間の樹上作業でも身体を支えやすい
  • ブリッジを利用した横方向への移動がしやすい
  • ギアを多く取り付けられる
  • バックルの着脱がしやすい
  • 専用アクセサリーが豊富
  • TOP JPとの指定された組み合わせで国内の墜落制止用器具規格に適合できる
  • メーカーから国内規格への適合情報が明確に公開されている

デメリット

一番大きいのは価格です。

セコイア本体だけでなく、フルボディ化する場合にはチェストハーネスなども必要になるため、トータルの導入費用は高くなります。

ただし、高所で身体を預ける道具なので、個人的には価格だけで妥協したくない部分です。



② Husqvarna クライミングハーネス

次はハスクバーナのクライミングハーネス。

チェンソーや林業機械のイメージが強いハスクバーナですが、日本では2025年から樹上作業向けクライミングギアの本格販売を開始しています。

ハスクバーナのハーネスは、長時間の樹上作業を想定して背中部分にクッション性のあるパッドを採用。

レッグループの調節も可能で、二重のブリッジを備えているのも特徴です。

作業内容やクライミングスタイルに合わせてシステムを組みやすく、最大作業者重量は150kgと案内されています。

ハスクバーナの良いところ

特に魅力なのはコストと機能のバランスです。

ツリークライミング専用ハーネスらしく、腰周りにさまざまなギアを装着でき、身体への負担も考えられています。

ハスクバーナ製品で道具を統一したい人にも魅力的でしょう。

メリット

  • 腰や背中のパッドがしっかりしている
  • ダブルブリッジ
  • 調節箇所が多い
  • ギアを取り付けやすい
  • ツリークライミング用として高い完成度
  • 機能に対して価格を抑えやすい

注意点

一方で、この記事で重要視している日本の「墜落制止用器具の規格」に適合したフルハーネスとして使えるかという点については、PETZLのように日本向けの適合情報を確認して選ぶ必要があります。

ツリークライミング用ハーネスとして優秀であることと、国内で墜落制止用器具として認められていることは別問題です。

ここは購入前に必ず確認しておきたいポイントです。

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③ NOTCH Catalyst(ノッチ カタリスト)

3つ目はアメリカのアーボリスト用品ブランドNOTCHのCatalyst(カタリスト)。

こちらも非常に魅力的なハーネスです。

特に特徴的なのが、腰と脚部分の大型パッド。

長時間のワークポジショニングを意識した設計になっていて、身体への当たりを分散しやすくなっています。

また、腰・脚・ライズ部分など複数箇所の調節が可能で、自分の身体に合わせて細かくフィッティングできます。

規格としてはANSI Z133-12、CE EN358/813、ASTM F887-23などへの適合が案内されています。

NOTCHの良いところ

とにかく樹上での快適性とカスタマイズ性を重視した印象です。

腰周りのギアループも使いやすく、アメリカンアーボリストスタイルが好きな人にはかなり魅力的なハーネスだと思います。

メリット

  • 大型パッドによる快適性
  • フィッティングの調整幅が広い
  • ブリッジ周辺の自由度が高い
  • ギアを多く装着できる
  • アーボリスト向けに作り込まれている
  • デザイン性も高い

注意点

ここでも重要なのが安全規格です。

EN358やEN813はワークポジショニングやシットハーネスに関係する規格であり、日本の「墜落制止用器具の規格」と同じものではありません。

NOTCH自身もハーネスをワークポジショニング・サスペンション用途として案内しており、フォールアレスト用途にはフルボディハーネスが必要としています。

そのため、海外で評価の高い製品だからという理由だけで「日本でも墜落制止用器具として使用できる」と判断しないことが重要です。

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3つのハーネスを比較

項目PETZL SEQUOIAHusqvarnaNOTCH Catalyst
快適性◎◎◎
フィット感◎○〜◎◎
ギア収納◎◎◎
ブリッジ◎◎◎
カスタマイズ性◎◎◎
初心者の扱いやすさ◎○○
国内規格への対応◎※指定構成要確認要確認
価格△○△〜○
おすすめ度★★★★★★★★★☆★★★★☆

※PETZL SEQUOIA単体がフルハーネスとして国内規格に適合するという意味ではありません。**メーカーが指定するチェストハーネスとの組み合わせで適合します。**製品ラベルに「墜落制止用器具」の表示がある適合品であることも確認してください。


結局どのハーネスがおすすめ?

Arborist suspended in tree cutting a branch with a chainsaw

3つともツリークライミング用ハーネスとして非常に魅力的です。

ハスクバーナは価格と機能のバランスが良く、NOTCHは快適性やカスタマイズ性が魅力。

それでも、日本国内で仕事としてツリークライミングや特殊伐採を行うことまで考えるなら、僕はPETZL SEQUOIAをおすすめします。

理由は単純に「有名だから」ではありません。

大きいのは、PETZL JAPANが国内の「墜落制止用器具の規格」への適合状況を公開していて、対応する製品番号や組み合わせまで確認できることです。

高所作業で使う道具は、

「たぶん大丈夫」

ではなく、

「どの規格に適合していて、どの組み合わせなら使用できるのか」

まで確認して選ぶべきだと考えています。


初心者ほどハーネスにはお金をかけてほしい

ツリークライミングを始めようとすると、ハーネス以外にもロープ、ランヤード、カラビナ、フリクションデバイス、ヘルメットなど、とにかく必要なものが多くあります。

そのため、

「ハーネスは少し安いものでいいかな」

と思ってしまうかもしれません。

ですが、ハーネスは身体とクライミングシステムをつないでいる非常に重要な装備です。

快適性が悪ければ疲労につながります。

フィッティングが悪ければ動きにくくなります。

そして規格や使用方法を理解していなければ、それ以上に大きな問題になります。

ツリークライミング道具は、価格だけではなく、

安全性・用途・規格・身体との相性

まで考えて選んでください。

特にこれから仕事としてツリークライミングや特殊伐採を始めたい人には、最初のハーネスとしてPETZL SEQUOIA+メーカー指定のチェストハーネスという構成は有力な選択肢だと思います。

道具は自分の命を預けるもの。

「登れるか」だけではなく、安全に登って、安全に作業して、安全に地上へ戻ってくるための道具選びをしていきましょう。

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